通信制高校のサポート校とは?その実態と必要性は?技能連携校は?

通信制とは

通信制高校を調べていくと「サポート校」が時々出てきますよね。

でも、サポート校とはどのような学校でしょうか。
通信制高校と比べて何が違うのでしょうか。

今回は、サポート校の存在意義や実態から技能連携校のことまで、通信制高校を受験する上で知っておきたい基本について分かりやすくお話しします。

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通信制サポート校とは?

通信制サポート校について一言で表現すると、通信制高校を卒業するための「学習塾」とか「予備校」みたいなものです。

通信制サポート校について理解しておきたいポイントは以下の3つです。

  1. 高校卒業資格がもらえない(学校教育法で定める「学校」でないため)
  2. 通信制高校とダブルで入学しなければならない
  3. サポート方針や内容は学校によって異なる(勉強・学習計画管理・精神面等)

では次に、サポート校における学校生活について具体的にお話ししていきます。

サポート校に通う場合の学校生活ってどんな感じ?

サポート校に入学すると、普段は通信制高校でなくサポート校に通う形になります。そして、スクーリングや単位認定テストの際に通信制高校の方に通い、3年間で必要な単位を取得できるように頑張ります。(サポート校が通信制高校に認定されている場合には、スクーリングやテストもサポート校で受けるというパターンもありますが、あまり多くありません。)

そして、卒業についての注意点は、サポート校でなく通信制高校の方を卒業するということです。ですので、卒業証書の学校名や、履歴書に書くのはサポート校でなく、通信制高校の学校名になります。

通信制高校と同様に、サポート校も全国に沢山ありますが、そのサポート校によってサポート内容や方法が異なります。ですので、もしサポート校に入学しようかと考える場合は、サポート内容や方法をしっかり理解して、自分に合っているかを見極めていくことが重要です。

通信制サポート校は何故必要?どんなサポートをしてもらえるの?

通信制サポート高校は本当に必要なのでしょうか。
サポート校でなく、通信制高校だけでも良いのではないか、と思う人もいるでしょう。
ここでは、サポート校ではどんなことを具体的に行っているのか、その役割について細かくお話しします。

具体的には、サポート校では以下の支援を行います。(ただし、サポート校によってどこまで行うかは異なります。)

【サポート校による支援内容】

  1. 学習指導
  2. レポート作成と提出管理
  3. スクーリングのスケジュール管理と引率
  4. 単位認定テストのスケジュール管理
  5. 快適な居場所作り
  6. やりたいこと探しのきっかけ作り(部活動や課外活動、行事、スクール等)
  7. 進路指導

では1つ1つ細かく見ていきましょう。

学習指導

最も多くの人が期待するサポートがこの学習指導でしょう。
通信制高校の場合は「自学自習」が基本なので、自宅でコツコツ勉強を続けることが重要なのですが、高校の勉強は難しいので教科書や教材を読んだだけでは理解できずにレポートの前に挫折する可能性があります。そうなると、単位が取得出来ずに中退という危機に直面してしまいます。

それを避けるためにサポート校では学習指導をしています。サポート校によって異なりますが、少人数制や個別指導で行うところもあれば、ある程度人数のいる教室で講義を行うところもあります。ただし、規模の大きいサポート校でも1人1人に担任をつけることで個別対応して、学習が滞らないようチェックする体制を整えています。

レポート作成と提出管理

学習の単元毎にレポートの提出が必要になります。レポートは通信制高校によって内容や提出枚数が異なるのですが、レポートを締切日までに提出しないと単位認定への道が閉ざされるため、定期的に作成して提出していかなければなりません。

これも学習指導と同様に、通信制高校だけだと自学自習なのでやり遂げることが出来るか不安な場合には、サポート校で作成指導や締切日までに提出できるかどうかの管理をしてもらえると安心できるものです。

また、レポートの出来不出来は内申書にも関わってくることなので、大学の推薦入学を狙っている人にとっては結構重要なんですよね。ですので、サポート校によっては、なるべく良い成績が取れるようレポート作成に関して丁寧な個別指導をしてくれるところもあります。
(この辺はサポート校によってどこに重点を置くか異なるので、気になる場合には個別相談時に確認した方が良いです。)

スクーリングのスケジュール管理と引率

スクーリングについては、通信制高校によって年に1回の集中スクーリングか、月に数回か等様々なパターンがあります。ですが、どのパターンでも参加しないと単位認定してもらえないため、サポート校では生徒が必ずスクーリングに行けるよう管理し、会場まで引率するケースがあります。

また、普段の学習指導やスクーリングをeラーニングにより行い、全てをオンラインで管理しているサポート校もあります。

★あるサポート校で実際に聞いた話では、起立性調節障害で朝起きるのが苦手な生徒の場合、当日間違いなく行けるかどうかを母親と本人とサポート校で相談して、当日は母親が会場まで連れて行き、その後はサポート校の先生がサポートしてスクーリングを最後まで受けた、ということがあったのだとか。ちなみに、このサポート校では生徒の特性を見極めて、その生徒に合った個別対応をしているそうです。

単位認定テストのスケジュール管理

単位認定テストについても通信制高校の会場で特定の日に受けることから、スクーリングと同様に、生徒が忘れずにテストを受けるよう、スケジュール管理しています。

快適な居場所作り

サポート校でのサポートは学習中心という印象があるかもしれませんが、快適な居場所作りも重要なサポート業務の1つです。

というのも、通信制高校に進学する生徒というのは、多かれ少なかれ、不登校や学校に行けずに苦しんだことがあるものです。そして、その経験から、全日制よりも通信制高校の方があまり人との接点が無さそうで良いのではないか、という考えの人も多いです。
とはいえ、スクーリングで他の人と顔を合わせる不安もあるし、逆に、不安はあるけど今度こそ友達と楽しく過ごせるようにしたいという希望の人もいます。

サポート校では生徒1人1人が心地良い空間で過ごせるよう、個性を大切にしてその生徒に合った環境になるよう考えてくれます。

また、完全に引きこもりの場合は、無理に家から出させようとせず、家庭教師のような形で先生が家庭に赴き学習指導を行ったり、相談相手になったりしてくれます。専任のカウンセラーが常駐していたり、先生自身がカウンセラーとしての資格を持っているサポート校もあります。

また、サポート校は高校と違って校則が無く、自由な雰囲気のところが多いです。制服のあるサポート校もありますが、着るかどうかは自由だし、購入しなくても問題ありません。
髪の毛についてはサポート校によって異なりますが、「基本的に自由だけど、赤色(みたいな奇抜な色)は止めてね」などを言われることがあります。(赤色でも問題ない、という学校もあります。)

やりたいこと探しのきっかけ作り(部活動や課外活動、行事、スクール等)

既にお話ししましたが、通信制高校に入学する生徒の多くは小中学校で不登校になった等、挫折の経験があります。
そして、勉強についていけるのか、他の生徒と仲良く過ごせるのか等の不安でいっぱいです。

で、こんな状況で全日制高校だと「もっと頑張らせなきゃいけない」的な発想になるのですが、その方法だと、自己肯定感が下がっている状況なので子供を追い詰めてしまいがちです。

では、サポート校ではどのようにアプローチするかというと、

(1)好きなことを見つける
(2)集中してやっていく
=充足感=自己肯定感アップ
(3)意欲が芽生えて学力アップ!将来の目標も見つかる!

という発想なのです。
やり方はサポート校によって異なりますが、最初からコース別になって1年から3年間深い勉強をするところもあれば、きっかけ作りという意味で、様々な授業を1回限りで設けているところもあります。

時間に関しては、1日の午前と午後で分けているところ(午前は通常授業、午後は特別授業)もあれば、一週間のうち特定の日だけ特別授業を行い、残りは通常授業というやり方のところもあります。

この点についてはサポート校によって授業内容や時間数が全く異なるため、この点を重視したい場合には詳しく調べておきましょう。

進路指導

通信制高校では、自学自習が基本で単位を取得すれば卒業できますが、「その後どうするか」までを丁寧に指導してくれる学校は多くありません。
ですが、サポート校では進路指導や将来のビジョンまで踏み込んでサポートしてくれるところが多いです。

通信制サポート校の学費は?

サポート校の場合、1人1人に丁寧な対応をするところが多いことから、学費は結構高いです。また、サポート校とは別に通信制高校にも入学するため、通信制高校の学費もダブルでかかってしまいます。

学費はサポート内容によっても異なりますが、その他、以下の要因によってもかなり金額の違いがあります。

通学頻度(週1回~5回)
授業形態(個別指導か集団指導か)
コース内容(専門コースや進学コースを選ぶか、有名な講師を招聘して様々な体験授業を行うか等)

具体例を挙げると、

KTCおおぞら高等学院では現在、週2日コースと週5日コースがありますが、

  • 週2日コース・・・入学準備金約8.2万円、授業料等25.6万円/年
  • 週5日コース・・・入学準備金約8.2万円、授業料等50万円/年
  • 個別指導コース※・・・入学準備金約8.2万円、授業料等68.4万円/年

となっています。それとは別に、通信制高校である屋久島おおぞら高等学校に入学するため、そちらの学費として、入学金5万円、授業料等約30万円/年がかかってきます。(授業料等については、授業料とその他施設管理費や年額保険料等も含む、1年間の納入額です。)

トライ式高等学院の場合は、完全個別指導であり、

  • 普通科(年間個別指導50時間)・・・入学金8.8万円、授業料等約56.6万円/年
  • 特進科(年間個別指導100時間)・・・入学金8.8万円、授業料等約95万円/年

となっています。また、通信制高校は2校のうちから1校選択できるのですが、鹿島学園高等学校に入学する場合は入学金5万円、授業料等約20.4万円/年がかかります。

※KTCおおぞら高等学院の個別指導コースはトライ式高等学院と異なり、完全な1対1の授業ではなく、数名に対して1人の先生が指導するような形なのでご注意ください。いずれにせよ、両校とも方針が全く異なるし、一長一短があるので単純な学費だけの比較はできません。

サポート校にはどんな学校があるの?

では、他にどんなサポート校があるのでしょうか。
東京で有名なところでは、以下のような学校があります。

中央高等学院
国際高等学院
東京文理学院高等部
学研のサポート校 WILL学園
国立音楽院
東京共育学園高等部
東京YMCA高等学院
志成館高等学院東京校

サポート校は全国的に非常に多いし地域性もあり、全てをここに記載することはできません。興味のある方はインターネットで「お住まいの都道府県 サポート校」等を入力して調べてみてください。(ただし、サポート校単独でなく、通信制高校も同時に検索結果として表示されることが多いです。)

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通信制高校に無いサポート校のメリットとは?

サポート校には、通信制高校には無い沢山のメリットがあるので、ここで整理しておきましょう。

【サポート校のメリット】

  1. 3年間で卒業するよう管理指導してくれる
  2. 学力遅れや引きこもりへのサポートもある
  3. 様々なコース選択で将来の目標を見つかる可能性がある
  4. 学校特有の堅苦しさがない

3年間で卒業するよう管理指導してくれる

通信制高校における最大の不安が「自学自習できなかったらどうしよう」という不安なのですよね。ですので、最短で卒業するためにも、日々の学習指導からスクーリングやテストまでをこまめにチェックしてくれる先生の存在が重要なのです。

学力遅れや引きこもりへのサポートもある

いじめで不登校になった場合等には学力遅れや精神不安等もありますよね。サポート校では1人1人の状況に応じてサポートしてくれるので、このようなケースについても、どうすれば乗り越えられるのかを考えて、本人に寄り添う形で自信が持てるようなサポートをしてくれます。

様々なコース選択で将来の目標が見つかる可能性がある

通信制高校の場合はコース設定が少ないです(学費の高い通信制高校は別です)。
ですが、サポート校では、生徒1人1人の意欲が湧くような、様々な体験授業や専門性のあるコースを用意しているところが多いです。

学校特有の堅苦しさがない

通信制高校に入学する生徒の場合、学校の息苦しさから不登校になったパターンも案外多いのですよね。
サポート校の多くは校則を設けず、かなり自由な環境にしています。(一部の高校では結構きちんとした校則を設けているところもあります。)
制服についても、定めのあるサポート校もありますが、基本的には制服を着ないで自由な服装でOKというところが多いです。

通信制サポート校のデメリットは?

【サポート校のデメリット】

  1. 学費が高い
  2. 高校卒業資格が得られない

サポート校の最大のデメリットは、学費です。
学費は通信制高校とダブルでかかってしまうことや、1人1人に対応するということで、通学頻度が高くなればなるほど高額になるという仕組みです。

また、もう1つは、サポート校単独では高校卒業資格が得られないということですね。
毎日通うのはサポート校なのに、卒業時に貰える卒業証書は通信制高校の学校名になるというのが違和感を持つかもしれません。また、履歴書に書く高校名もサポート校でなく通信制高校の学校名になります。

通信制高校とサポート校の比較まとめ

通信制高校とサポート校を比較すると「サポート校は学費が高くて大変だ」というイメージになるかもしれません。
でも、通信制高校の学費はピンキリで、安い学校では年間30万円程度、高い学校だと年間100万円超というところもあります。
なぜこんなに学費の差があるかというと、サポート内容の違いなのですよね。

サポート校の無い通信制高校でも、近年はサポート校のように生徒1人1人の個性に応じた指導をする学校がたくさんあります。
例えば、クラーク国際高等学校やN高等学校などの人気校では、週5日登校コースだと年間100万円超の学費がかかるのですが、かなり丁寧なサポートがあるし、生徒の意欲を引き出すような様々なプログラムがあるからこその学費なのですよね。

ですから、サポート校と通信制高校のどちらに進学するのが良いか、という問題でなく、もっと広い視点で、本人の目標や現状、自分で管理できるか否か等のことを考えつつ学校探しをするのが良いでしょう。

技能連携校とは?

技能連携校は、一見サポート校と似ていますが、別物です。
共通点が、通信制高校とダブルで通うことになるということです。
大きな違いとしては、サポート校が役所の許可が不要な教育機関であるのに対して、技能連携校は「都道府県教育委員会が指定する教育施設」であることです。

具体的な特徴としては、技能連携校では専門性の高い技能に関する授業が行われ、受けた授業が通信制高校側の単位に認定されるということがあります。もちろんサポート校によっては専門性の高いコースもあるのですが、どちらかというとオプション的な要素であり、技能連携校のような全面的な専門性は打ち出していません。

ですので、やりたいことが既にあり、高校在学中から専門性の高い授業を受けたいのであれば技能連携校もおすすめです。

ちなみに、技能連携校は以下のリンク先で確認できます。

ウィキペディア:技能連携校一覧

さいごに

サポート校や技能連携校の場合は通信制高校と両方に入学するため、学費が高くなります。
ですが、自己管理能力が不安な場合にはサポート体制の整った学校に入る方が安心だし、将来の展望についても相談したり、取り組めるような環境の方が様々な道が開ける可能性があります。

ですが、今はサポート校や技能連携校でなく通信制高校でも様々なサポートをしていたり、様々なコースを設置している学校もあります(内容が充実すればするほど学費は高くなる傾向はあります)。

ですから、通信制高校とサポート校のどちらが良いのかを悩むよりも、その通信制高校(あるいはサポート校)だとどのようなサポートを受けられるのか、どのようなコースがあるのか、自分に合うのかをじっくり考えて選ぶことが重要です。

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この記事を書いた人
ぼっち星人の母

現在高校2年生の娘の母で、アラフィフ。
娘は一見普通の女の子ですが、話そうとすると様々な症状があって日々の生活が大変で、

小学2年生の後半から不登校になり、勉強する気力なくなり学力が小学校2年生で止まっていました。

その後、中学校入学目前になり、とあることがきっかけでやる気が出て、中学校の特別支援学級に通うようになりました。今は、高校生活に淡い夢を抱き始めた段階で、「通信制高校なら通えるのではないか」と考え、あちこちの学校をリサーチし、その後無事通信制高校に入学しました。

ちなみに、娘の症状は以下のようなことがあります。

引っ込み思案、虚弱体質、感覚過敏(嗅覚過敏・聴覚過敏・触覚過敏)がある、集団生活に馴染めない、こだわり星人、
自閉症スペクトラム(幼少時には高機能自閉症と診断されたものの、様々な特性がありWISCでは全くやる気無しなので現在は知的障害レベルの数値しか出ない)、母子分離障害、強迫神経症。

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