広域通信制高校と狭域通信制高校の違いをご存知ですか。
この2つの言葉は通信制高校のことを調べているとよく耳にする言葉です。
でも、

何となく分かる気もするけど、よく分からないわ。

きちんと知ってないと選び方を間違うのではないか!?

広域通信制高校と狭域通信制高校は、どっちが良い学校なのかなあ?
このように悩む人が多いのですよね。
そこで、この記事では、広域と狭域の違いや、それに関する通信制高校の選び方について、分かりやすくお話しします。
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広域通信制高校とは?
広域通信制高校は「広域」という文字通り、「広い範囲から入学できる通信制高校」です。
では、具体的にどこまで広い範囲なのでしょうか。
これは学校によって異なりますが、本校所在地を含めた「3都道府県以上」という定めになっており、実際には3都道府県のこともあれば、47都道府県全てという学校もあります。
ですが、広域通信制高校の場合はこの制度ゆえに問題が生じてしまいます。
それは、学校が住まいから遠い場合にスクーリングや単位認定テストの際に通学が困難になってしまうことです。47都道府県全てから入学できても本校は1つという場合、通学に数時間かかってしまう可能性があるのですよね。
そこで、広域通信制校では全国にキャンパス(分校)や学習センターを設置したり、他の高校に「協力校」になってもらったり、技能連携校との技能連携を行うことにより、本校以外での受講ができるようにしているのです。
また、学校によっては頻繁に通えない生徒のことを考慮し、「集中スクーリング」という方法で僅か数日間で1年間分のスクーリングを行う形式にしているところもあります。
では次に、狭域通信制高校についてお話しします。
狭域通信制高校とは
狭域通信制高校は「狭い範囲から入学できる通信制高校」で、具体的な範囲としては、「本校所在地と隣接する都道府県」で、合計2都道府県までとなっています。
狭域通信制高校の場合、さほど広範囲でないので広域通信制高校のようにキャンパスや学習センターをあちこちに設置する、という学校は多くありません。ただ、実際には狭い範囲とはいえ、都道府県内でも遠い場合は通学するのに長時間かかる可能性もあるため、協力校を複数設けている学校もあります。
公立通信制高校の場合は1校を除いて狭域通信制高校に該当するのですが、都道府県に1校しか公立が無い場合は遠方の生徒を考慮し、通いやすいような地域に協力校があったり、同じ高校で「東部キャンパス・西部キャンパス」のような名称で設置しているところもあります。
通信制高校における広域と狭域の違いは?
ここまでの話で広域と狭域について少しイメージが湧いてきましたよね。
この章では、改めて、広域と狭域の違いについて項目別に比較していきます。
(1)通学範囲の違い
- 広域通信制・・・入学可能地域が3つ以上の都道府県
- 狭域通信制・・・入学可能地域が1~2都道府県。公立の殆どは狭域通信制。
(2)学校数の比較
- 広域通信制・・・100校(公立1、私立99)
- 狭域通信制・・・141校(公立76、私立65)
このように、学校数だけで見ると、公立はほとんど殆ど全て狭域通信制、私立は約3対2の割合で広域通信制が多いという結果です。ただし、この数値以外に広域通信制には全国各地にキャンパスや学習センター等があるため、ご自身の住んでいる都道府県で探そうとする場合には、圧倒的に広域通信制の方が多く感じるはずです。
【参考資料】文部科学省:高等学校通信教育に関する調査結果について(概要)2017年6月時点
※この学校数については、上記参考資料(アンケート集計結果)に記載されたものであり、学校総数とは若干異なります。
(3)特徴の違い
- 広域通信制・・・本校だけでなく、各地にスクーリング会場があります。また、普段の授業ではインターネットによる授業を行ったり、学校によってはレポート提出をインターネット経由で行うケースもあります。スクーリングについては、週や月単位の通学でなく、1年間に1回、宿泊施設で数日間の集中スクーリングを行う学校もあります。いずれにせよ、遠方の生徒の負担を減らし、学びやすいような仕組みづくりがなされています。
- 狭域通信制・・・本校だけで行う学校もありますが、同じ都道府県内でも交通の便が悪い生徒のことを考慮し、協力校を設置している高校もあります。スクーリングについては週1~2回や月2回程度行うところが多いです。(広域通信制と異なり、1年間にまとめて1回だけの数日間で済ませる、というパターンはありません。)
通信制高校の選び方-広域と狭域のどっちが良いの?
さて、ここまで広域通信制高校と狭域通信制高校について比べてきましたが、どちらを選べば良いのでしょうか。
実は、広域と狭域についての比較で言うと、
ということです。
肝心な選択基準は、もっと別の部分なのです。そして、よく考えて決めた結果、「自分の子供が広域通信制高校に入学した(あるいは、狭域通信制高校に入学した)」ということになります。
では、何を基準に高校選びをすれば良いのでしょうか。これは、その人それぞれだし、状況によっても異なりますが、最初に以下のようなことを考えるべきです。
【1.高校選びで最初に考えるべきこと】
・やりたい部活や勉強等がある
・学校の雰囲気が良い
・サポート体制が安心できる
・先生が良さそう
・校舎が落ち着く
など、本人が一番納得できる環境を探すことが重要です。その上で、「通学しやすい」という条件も加わってくるでしょう。(地方によってはバスや電車等の便が悪くて、殆ど選択の余地が無い学校があるかもしれませんが。)
「通学しやすい」という条件については以下のことを考えましょう。
【2.通学について考えるポイント】
・家から通いやすい場所か
・スクーリング日数が多くないか
・1日の時間割が長すぎないか
※実際にその学校に通う場合の通学時間やスクーリングの頻度、時間の長さ等を調べてシミュレーションしましょう。
なので、広域か狭域かというのはさほど問題ではないのです。
広域通信制高校のメリットは?向いている人は?
ただし、既にお話ししたように、狭域通信制高校の場合は1年間に1回の集中スクーリングだけで済ませる、という方法はありません。これは、広域通信制のみのやり方です。
【広域通信制高校のメリット】
広域通信制高校の最大のメリットは以下の2点です。
・短期間のスクーリングがある
・様々なタイプの人に対応できるスクーリング形式がある
なので、定期的に通学するのが厳しい人にとっては、狭域通信制高校よりも広域通信制高校の方が向いています。
具体的には以下のような人は広域通信制高校の方が通学しやすいと感じるでしょう。
【広域通信制高校の方が向いている人】
・バレエ等で海外留学している人
・スポーツでプロを目指している人
・芸能活動等を行っている人
・病気がちな人
・集団活動が苦手な人
・朝起きるのが苦手な人
このような場合には、狭域通信制高校よりも、広域通信制高校の中で特に「スクーリングに関して比較的ゆったりとしたペースの時間割」の学校が向いているでしょう。
(広域通信制高校はスクーリングに関して本当に様々あります。中には週5日全て通うコースの学校もあるので受験する前によく確認しておく必要があります。)
広域通信制高校と狭域通信制高校の一覧
広域通信制高校については、以下のページのリンク先に、2017年5月1日時点における広域通信制高校のサテライト施設(キャンパス・学習センター)の一覧があります。都道府県別のリンク先を選んでご確認ください。
文部科学省:広域通信制高等学校の展開するサテライト施設に関する調査結果(平成29年度)
ちなみに、広域通信制高校はほとんどが私立ですが、1校だけ公立もあります。
その1校は大分県立爽風館高等学校なのですが、この学校はスクーリング等における協力校が大分県日田市と中津市にあり、福岡県と熊本県に隣接していることから、「県外隣接地域」限定で県外からの通学を認めているのです。
狭域通信制高校にはどんな学校があるの?
狭域通信制高校については、全てを網羅しているリストはありませんでした。
ただ、高校受験するのに探しやすいものとして、ウィキペディアの以下のリストがあるので、どんな学校があるのか、どんな範囲なのかを参考にすると良いでしょう。
ウィキペディア:高等学校通信教育-主な狭域の通信制一覧(地域限定)
ただし、この一覧は「狭域」といっても2都道府県よりも多い範囲から募集している学校も含まれているので純粋な「狭域通信制高校」ではありません。
また、公立の狭域通信制高校を確認したい場合は、別記事をご覧ください。
→公立通信制高校 都道府県別一覧
まとめ
広域通信制高校と狭域通信制高校では「入学できる地域の範囲が広いか狭いか」という違いがあります。
ただ、高校選びの段階では、この2つのどちらが良いのかという考え方でなく、
最初に、自分のやりたいことや優先順位を考え、
次に、通学に関して学校までの通学時間や通学頻度などを考え、
自分が無理なく、楽しく充実した高校生活が過ごせる学校を選ぶことが重要です。
充実した高校生活のためには、学校までの時間だけでなく、サポート体制や自分に合う雰囲気かどうか等も重要なので、ぜひ様々な角度から学校を調べたり見学したりして決めた方が良いでしょう。
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